TP230Csよ、永遠に

 先日、すっかりPCで文書を打つことにはまった息子と娘、偉そうに「きょうは、ぱそこんつかわなかったなぁ」なんて言ってきます。ネットに繋げるわけでもなし、古いPCを一台、子供専用に貸し与えてみようかと思い立ちました。というわけで動くかどうか分からないけど、10年以上眠っていたIBMの往年の名機 ThinkPad 230Cs を引っ張り出してみました。もともとはウチの奥さんが学生時代に買ったマシンです。
 だが、スイッチを入れたらバックライトが死んでいるのか液晶画面がほとんど見えない。それでもメモリチェックは無事に済んで、OS(Win95)が起動する途中で、突然画面がブラックアウトしました。しかしHDDは動き続けているので、どうやら画面回りがショートして目の前でたった今お亡くなりになった様子。とほほ。
 子供に貸し与える夢はこれで潰えましたが、このマシン、Win95はともかく、DOSはそれなりに環境が整えてあったので、このまま捨ててしまうのには惜しかったので、DOS環境を引き抜いてVM-Wareの仮想PC環境に引き継ごうと思い立ちました。

 まずは画面が見えなくては何もできません。幸い230Csはまっとうなノートマシンのため、外部出力もあります。そこでディスプレイに繋ぐケーブルを探します。VGAケーブルなんていったいどこにいったことやら。大量のRS-232Cケーブルとか、パラレルケーブルとかはわさわさ出てくるのですが、肝心のVGAケーブルだけでてこない。家探しして、ようやくしまい込んだPCものの箱の中からディスプレイケーブルを発掘。これを現行の液晶ディスプレイに繋いだら、画面が映りました。これで作業できます。

 そうしたら、なんとマウスを認識していない。ThinkPadといえばトラックポイントですが、このデバイスが死んでいるようです。さすがにPS2マウスとかシリアルマウスはもう手元に無かった(いちおう家探しした)。マウスがなければキーボードを使えばいいじゃないの、と全くその通りですので、これ以降のWindows上の作業は必死にWindowsキーボードショートカットを駆使。右クリックとかデスクトップ上のアイコンを選ぶ方法とか知らない機能はネットで検索しながら。いやー勉強になりますな。

 で、いよいよデータを移そうと思ったんですが、しかし困った、当時は今と違ってUSBなんて便利なものは存在していない。データ転送で最も早いものはHDDを取り出して直繋ぎ、外部HDD等の大容量メディアを接続、そうでなければEther-Net経由です。HDDを物理的に取り出すのは最後の手段として、外部メディアといっても繋ぐためのインターフェースがSCSIカードぐらいしかない時代、SCSI-HDD自体が残っていない。CFカードも手元にない、というわけでネットワークでの接続を試みます。当然、ネットワーク機能もオプションなのでネットワークのPCMCIAカードを探して(家探し)、差し込んでみたら、なんとドライバをインストールしてください、と・・・。とほほ、このマシンでこのカードを使っていなかったか。

 で、ドライバディスクを探して(今使用しているマシンのHDDの深いレベルの底にバックアップコピーが残っていた!)、これをインストール・・・しようにもデータを持ち込む方法が無いのでFD経由で送り込むことにしたらFDドライブを現マシンに繋いでいないのでUSBのFDドライブを探してきて(会社に置いていた)、状態のよさげな3.5inFDを探して、これでドライバをコピーして、インストールしようと書庫ファイルを展開したらATマシンはWin95標準のOS付属ドライバを使用してくれ、とドキュメントに書いてあって・・・orz、それならと230CSにPCMCIAカード挿しなおしてドライバ選んでインストールしようとしたらWin95のDisk-19を入れてくださいと表示されてまたorz・・・。そういえばHDDを確保するためにOSを消去したっけ。FDが死ぬ前にとOSが入ったDiskについてはバックアップとっていたので、またHDDの底から引きずり出して、FDにコピーしようとしたら、cabのファイルサイズが1.7Mbくらいあってコピーできない・・・。ファイルシステムの違いでデータが大きくなったのか?しかたないのでファイル分割ツールで分割しようとしたら、昔から使っているソフトはWin8のコンソールでは動作しなかったので(コマンドラインツールも限界だ)、動作するソフトを探してインストールして、ファイル分割して、FDにコピーして、230CSで読み込んで、ファイルを結合して、もう一度ドライバのインストールからやり直したら見事読み込み始めて、やったーと思ったら「Win95のDisk-20を入れてください」・・・あああ。もう一度似たような作業を繰り返して、ようやくネットワークカードのドライバをインストールできて認識できましたよ。


 今度はPCと接続しなくちゃならないのだけれども、最近はHUBを介さず直接ルーターとPCを接続しているので、NICはオスタイプなので直接差し込まないといけないし、ルーターのポートは遠い場所に設置しているのでディスプレイと繋いだままだと接続できないし、そんな長いLANケーブルも無いし、どうしたらいいか悩んだすえに、手持ちのノートPCと久々のピアトゥピアを試みることにしました。繋ぎ先をノートにしたのは、挿すことのできるポートを近づけることが楽だったからです。さらにオス−メス変換とケーブルリバース化を解決できる、ポート接続逆転アダプタの出番です。持っててよかった。セキュリティ設定やその後のファイル操作が楽なほうを考慮して、Windows95側のドライブをフル解放することにします。IPアドレスを設定して、ワークグループを合わせて、Cドライブのルートを共有化して、とようやくTP230CSのドライブを覘くことができました。はああ、ここまで長い道のりでした。

 あとはごっそりとHDDの中身をまるごとwin8機にコピー。それから以前に構築したVM WareのPC-DOS/Vの仮想マシンに送り込みます。送り込む方法は以前に設定したftpを使うなど考えましたが、以前に某氏から教わったテクニックの、ファイルをすべてiso化して仮想CDにして読み取り、これのほうが楽そうです。
 ISO Workshop というツールでファイルを仮想CD化してマウントさせ、仮想マシンのCD-ROMに接続します。よし、うまくいきました。ここでも小文字のファイル名とかロングファイル名はDOSではうまく読めないなどの問題がありましたが、必要なファイル名を大文字に変換してから再度iso化、これでようやくvmware内に転送できました。あとは各アプリを動くように環境整理だけです。

 これで何か得なことがあるわけではないし、DOSを使いたくなるとも思えないのですが、こういう技術トライは楽しいね、やっぱり。