シンケンジャーが面白い。

 始まったばかりの頃はもっとお気楽極楽なノリで時代劇チャンバラ戦隊を目指すのかと思っていたが,思いの外キャラクターがハードな性格設定で,大人の(野暮な)視点にもそれなりに耐えられるストーリーになっており,かといって某ライダーのように低年齢層の子供を置いてきぼりにしているわけでもなく,いいバランスとなっていると思う。

 とはいえ,特撮というのはアクションがそのメイン要素であるべきなわけで,そのために,近年すっかり高年齢層のための番組となった「普通の」時代劇では到底番組構成上行えない「斬り合い」の密度の高さは特筆するべきでないだろうか。

 なかでも「第二十六幕:決戦大一番」のレッドと十臓との決闘シーンは超高レベルの殺陣の連続であり何度みても痺れてしまう。普通の時代劇では,なかなかここまではできなかったであろう。やはり闘うことに特化した番組ならではなんだろうなぁ。

 別件でたまたま「スターウォーズEp.IV」をみていたら,うちの奥さんに「なんでこんなに斬り合いシーンが迫力無いんだろうね。私でも闘えそう」みたいな事を言われたのだが,ライトセーバーの特性上,触れば即焼き切れるのであまり力を入れて叩ききるという剣技はいらないのかもしれないけれど,それにしてもやはりシンケンジャーと見比べるとかなり見劣りするのは事実。

 私は剣道を正式に習ってはいないけれど,学校の体育で剣道の授業を受けたときに,同じようなレベルの人相手と剣道経験の有段者相手では全く向かい合ったときの印象が違ったのを思い出す。
 有段者相手では,まさに隙がなくどこに打ち込んでも必ず返されてやられる!と思った(そして事実そうなった)が,シンケンジャーはそれと同じような迫力を画面からひしひしと感じる。

 じゃあ新作は,とSWのEp.I〜IIIの戦闘シーンをチョイスして見比べてみたが,確かに動きは早いのだが,やはり迫力という点ではイマイチなのだな,これが。

 ハリウッドにも日本の特撮マニア監督はたくさんいるので,数年後にはこの「迫力」を感じさせる斬り合いを逆輸入して見せてくれる作品がくるのではないかと勝手に期待しよう。