食レポ:かめのて

近所のスーパーで変なもの置いてあったので、興味をそそられて買ってしまった。その名も「かめのて」。名前の由来はもちろん亀の手、だよなあ。見た目は一体何だか良くわからない。ちょっとグロい。爬虫類の手と爪に見えないことも無い。

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調べると、船底に付くフジツボとかの遠い親類らしい。甲殻類なので貝というよりは海老や蟹に近い。漁師のおつまみとか珍味とか美味しんぼでも出てきたとか、そういういろんな情報でおおむね旨いとの評価。まあ海で獲れるもんなら少々見た目があれでも食えるだろうと、日本人にありがちな海への謎の信頼を礎に、食することとした。

ほらあれだ、海老がその辺の林の中を歩いているなら気持ち悪い虫だからだれも食べないが、海の中にいるだけで美味しく食べられるだろ?

さて、「かめのて」は普通に塩ゆでするのが一般的な食べ方らしい。まずは水洗いする。水につけるだけで食べ物にだんだん見えてくる。不思議。束になっているものがあった。なるほど、こんな感じで岩とかに生えてゆらゆらとしているんだな。海の中のイメージが湧くともっと食べるものに見えてくる。

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塩を一つまみ入れて、火にかける。沸騰してから10分くらいだそうだ。だんだんと旨そうな磯の匂いが漂う。どこかで嗅いだことある懐かしい匂い。これは上人ヶ浜で獲ったニイナを茹でたときのあの匂いだ。いきなりローカルネタをぶっこんだが、小学校低学年までは海岸のすぐ近くだったから母親と一緒に良く採取したニイナ貝、ニナ貝などと呼ばれることもあるそうだが、たまにヤドカリも混じって茹で上がる海の幸の匂い。

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匂いと記憶がつながると、自分の頭の中では見た目なんて関係なく、ただの旨そうな食い物に完全に変わる。茹で上がると意外なことに腕?の部分は柔らかい。あえて言うならライチの皮みたいな感触で、同じくらいの力で剥ける。その時につまんで力を入れると磯の香りの塩水が中から飛び出して周りに飛び散るのがちょっと困った。PCとかスマホのそばでは食べない方が良い。自分は仕事の合間に休憩で食べたので、会社のPCが危ないところだったのだ。

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筒状の腕の部分をむしると、マテ貝のような何とも言えないぷにぷにした部分が現れる。予想以上に小さい。え、これだけしか食べるとこないの?って感じ。

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一番きれいに抜き取れたのは上の写真。爪のようなところに、なんか可動部みたいなものが走っているようだ。海老の足のようにも見える。この部分はじゃりじゃりして到底食べられない。

味は、エビとカニと貝の間のような味。私はかなり旨いと思った。上人ヶ浜のニイナより、苦みが無い分だけ旨いと思う。または岩に貼りついたカキ剥がして喰った味とかそういう海岸採取の時の思い出の味の中で上等の部類。

だが私の奥さんはちょっと泥臭いと言う。もしかしたら海岸で獲り立てだともっと違うのかもしれない。うちの娘は花壇の土の味だという。そんなもの食べたのかと聞くと、土の匂いを嗅ぐと分かると言う。いや、土の匂いは分かるが何故土の味になるんだ。あまり家族の受けは良くなかったので(主に味で。見た目は二人とも平気らしい)、ほとんど自分一人で食した。オヤツというか酒のアテというかそんな食い物。パクパク食える。食べれるところが少なすぎてあっという間になくなる。ただ、エビカニと同じで胃がもたれる感じがある。過去にカニ・牛肉食べ放題しゃぶしゃぶでカニばっかり集中して喰うと胃がもたれてくるので牛肉喰って胃をすっきりさせるという不思議な体験をしたことがあったが、それはともかくとして、食べた量の割には満足できます。

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爪?と皮?だけになりました。ご馳走様。

あ、甲殻類だけあって、食べた後の手や口周りが少しかゆくなりました。甲殻類アレルギーの方は危険です。