めでたくもありめでたくもなし

一緒に仕事をしていると、当然コミュニケーションは大事なんですが、相手が中国人で加えて世代も一回り下となるとなかなか共通の話題を見つけることが難しいです。

なによりすべて通訳を介さねばまともな会話も困難ですので余計に辛い。こういう時は飲みにケーションが万国共通有効なんですが、あいにく私はそちらのスキルがたいそう低く、あまり役に立ちません。

しかし先日、私がとある案件を決めかねて腕を組んで目をつぶり唸っていると、「一休さんみたいだ」と言われました。
そういえば中国でも一休さんのアニメは大人気だったと聞いたことあります。80年から90年にかけて何度も吹き替えで放映されたとのこと。私も本放送リアルタイム世代ですので、思わぬところで国境も世代も超えた共通の話題が見つかったわけですね。

というわけで悩みながら頭を指でかき回して「ポクポクポクポクポク、チーン!」と言ってみたらウケました。中国語吹き替え歌も、EDは無いみたいですが、「好き好き・・・」のOPはあるようです。

さて、そうなると今度はセリフの吹き替えが気になりました。なにしろご存知のとおり代表的な「このはしわたるべからず」を始め、一休とんち話の多くがダジャレです。これをどう訳しているのでしょう。

中国では、今はネットのオンデマンドでかなりの作品を無料で視聴することができます(ちゃんと放送権は購入しているようです)。最新のアニメやドラマなどは字幕付きで1〜2週間待てば日本語のまま放送されるので重宝しています。
もちろん「一休さん」は吹き替え版ですが、これも見ることができました。
中国語のタイトルは「聪明的一休」なるほど。さて、「このはし〜」のくだりを探しますと3話の後半でした。

正直、中国語はほとんど聞き取れませんが、同じ中国でも地方によって発音が全く変わるという事情から中国TVは常に字幕が付くのがデフォルトです。おかげで同じ漢字文化圏に育った自分も、3割くらいはなんとなく理解できる有りがたい状況です。高校生で習っている頃には漢文が多少なりとも役に立つとは夢にも思わなかったですね。

さて、看板が見えてくると・・・

あれ、「別走過這座橋」って、普通に直訳っぽいですね。
さて、橋の真ん中を渡ってきた一休、どんな言い訳をするのでしょうか。


「牌子的左邊和右邊都寫著不准通過」
「所以我們不走左邊也不走右邊只有走中間過来了」
《看板の左端と右端すべてに通行禁止と書いてあるので、左端も右端も通らずに真ん中を通ってきました》とでも訳せばいいのかな。

かなり強引過ぎる解釈です。「橋」と「端」の解釈よりもさらに無理やりです。訳者もこういう言葉遊びには困ったのでしょうね。

それにしても最初の一枚目は「別走過這座橋」となっているのに、いつの間にか「不准通行」に変わっているし、

せめて前後のシーンは同じ言葉を使って欲しいものです。