米を喰らう

5月に一時帰国したときに米を2kgほど買ってきました。無洗米のコシヒカリです。
中国だって米文化ですし、南部とは違ってインディカ米ではなくてジャポニカ米だから、欧米に行った人たちのように「米、米〜」って禁断症状が出るほどの切実さは無いはず、なんですが、米の「うまさ」という点ではまったく比べものにならないほど、日本で現在流通している米は次元が違います。

大学で一人暮らしを始めたばかりの頃、もちろん貧乏学生でしたので米は一番安いパールライスを買っていました。あるとき、ふとグレードの高い米を買ってみたら、消費量が一気に上がってあっという間になくなってしまった経験があります。旨くて食が自然に進んだってことですね。さらに記憶を遡れば、自分たちが幼少の頃、毎日ここまで旨い米を食べていたかどうか?小さい頃はそれこそパールライスを買っていた記憶がありますが、いつの間にかうまい米を普通に食べるようになってきました。現在、日本で流通している主要な品種のほとんどがコシヒカリの系統らしく、すごいもんですね。→参考「お米の家系図」

そんなふうに普段は意識していないながら米の味をしっかりと認識している我々日本人は、中国に住むと日本の米の味が恋しくなります。日本人はどうにもこちらで食する米の味に我慢できず、ふりかけや海苔などは中国駐在員への定番のお土産になるぐらいです。自分は他の人よりは耐性があるほうで不味いから食べられないってことはないものの、ふりかけがあるとありがたいですし、日本に帰るたびに、ああこんなに美味いものをおれたちは毎日普通に食っていたのか、と思いますね。

さて先日、日本食材屋でニッスイの「たらこほぐし」を売っていたのでおもわず購入。でもこれ日本円で2000円/本くらいで売っているよ、超贅沢品じゃん。で、これを食べたかったので、持ち込んだ米をいよいよ炊くことにしました。

とはいえ、最初から自炊を諦めているので炊飯器なんか持っていませんが必要ないです。「炊飯器がないなら鍋で炊けばいいじゃない(byマリー・アントワネット)」って感じで鍋で炊きます。というか最初から鍋で炊くこと前提で米を買ってきていましたです。鍋で炊けるの?と聞いてくる人も多いのですが、小学校の家庭科調理実習で鍋で御飯を炊いたことある人もいるはず。自分はさらにボーイスカウトで飯盒炊飯も経験していますし、結婚したばかりの頃も電気製品揃っていない時期はうちの奥さんも普通に鍋で炊いていましたし、まあそんなもんです。小学生でもできるほど簡単です。特に一度に炊く量が少ない時は、安物炊飯器よりもよっぽど短時間においしく炊けます。御飯を炊くって行為は、要するに米の中央部まで水を染み込ませて焦がさないように加熱して適度に水を飛ばす、ってだけのことです。

水加減だけは間違えないように。とはいえ正確な水分量を忘れていたし、そもそも計量カップも無いからマグカップ使って適当に目視で量をコントロールしました。だいたい容積で米よりも水がちょっと多いくらいです。うう、なんてアバウトな説明だ。
今調べたら、正確には米180ccに対して水200〜250ccくらい、らしい。なれないうちは少し多めの方が失敗しにくいです。最悪おかゆになるだけです。少ないと、芯が残ってそもそも食べることができません。

基本は、始めちょろちょろ中ぱっぱ赤子泣いても蓋取るな、なんですが火加減の調整が難しいコンロなので、最初から最後までほぼちょろちょろ火で加熱し続けます。ガラスの蓋だと中の様子がわかって便利です。途中で蓋をあけてはいけません。
そのうち、水がだんだん減っていき、米からの澱粉質で水の粘度が上がり泡立ち始めます。この泡も少なくなってきたら完成です。一合だったら加熱時間も10分くらいかな? 加熱を止めて、蓋をしたまま10〜15分くらい蒸らせば御飯が炊き上がります。

久しぶりの鍋炊きだったので芯が残っていないか心配だったので、ちょっと表面をつまんで食べてみたら、いやはや美味い。米だけで十分なおかずになる、って変な言い方ですが、他におかず無くても没問題だよ、こりゃ。単体でこんなに感動するほど美味かったんか。さて、ちょっと硬めだったんで、次回はもう少し水を増やしてみようかな。