自然のオキテ

あまり手入れをしていない小さな庭があるのだが、そこの片隅にパセリを植えている、というよりも毎年種を適当に砂利の間にばら撒いて勝手に生やしている。もともとは雑草が生えるよりも、食えるものが雑草の邪魔をして生えるほうがいい、くらいの感覚ではじめたのだったが、全く耕さない荒地でもパセリは根っこを深くまで伸ばし、たくましく生えていくものだ。
ここ数年は、越冬するものもあれば一部は木のように伸びて花を咲かせては種をばら撒いて枯れ、翌年勝手に新たに芽を出すというサイクルを毎年繰り返すようになっており、ときどき追加で買ってきた種をまいてはいるが、勝手にも生息範囲を広げつつある。

ところが、だ。意外とパセリはうまいらしく、いろいろと食害にあう。
最初のころはナメクジとカタツムリが圧倒的に多かった。こいつらは広東住血線虫をはじめとするやっかいな寄生虫も媒介する可能性があるので、パセリを食用とするからにはやっぱりいやなもので、まめに駆除していた。
それが効いたのか、この2年ばかりはかなり数が減少したのだが、替わりに出現し始めたのがこいつら。

・・・何だかカメラの特性で、妙に合成チックなPIXARの画面っぽいものになったけど、本物の芋虫です。たぶん、キアゲハだと思うけど、こいつらが大量に湧く。

ほら、こんなに。
ちょっと忙しくて目をかけられないと途端に増える。何齢かはよく知らないが、よくよく調べると黒い小さな鳥の糞に似た虫が何匹もいるのでこれが変態してこんな大きくなるのだろう。いきなりこんな派手派手しいでかいのが増えると驚く。

敢えてアシナガバチが飛び回っているのを無視しておくと、途端に芋虫の発生が減るのでかなり捕食されているみたいだが、涼しくなって蜂も減ってしまったので自分で駆除。別に虫は嫌いではないし殺しまわる趣味も無いが、こいつらに食わせるためにパセリを植えているわけではない。

今回は11匹収集し溺死処分。死体は積んだ枯れ草の間に入れておく。何年先になるかわからないが、じわじわと腐葉土になったり、分解する微生物のえさにでもなればいいなと思って。かわいそうとは思わない。運が無かったね、くらいには思うけど。僕らは命を食べて生きている。そのサイクルを回すだけ。

だからもちろん、食卓の飾りではなくパセリは食うぞ。鳥のから揚げを揚げるときに180℃以上の高温にした油にさっとくぐらせ、ぱりぱりのパセリをから揚げに振って食べるのが好きだ。水切りを十分にしないと油はねがひどくかなり危険な作業なので、まず少量で試して欲しい。