あいかわらずの防災訓練

9/1は防災の日、防災訓練で登校したばかりの子供を迎えに行かねばならぬ。
なんで地震発生した直後の混乱した状態で子供たちを迎えにいけるんだろうか、連れて帰れるんだろうかと、以前から訓練の趣旨が不思議であったが、よくよく学校の資料を読むと、「警戒宣言発令時の対処の仕方を身につける」とあり、大規模地震対策特別措置法で定められたいわゆる前兆現象を捉えて警戒宣言を出して、もうすぐ起きるであろう地震を待つ、というアレだね。

私は地震予知については「できるかもしれないが、まあ9割方できないだろう」という意見だ。数百年に一度起きるであろう地震の前兆現象を捉えるったって、まず必ず前兆現象が起きるという保障はない。起きても人間の想像を超えた想定の範囲外の現象で、後になってから「ああ、あれが前兆だったんだな」となるかも知れない。
自分の技術屋としての経験上、そんなわずかな変化のデータを積み上げ、ようやく確信に変えることができるのに、一発勝負で再現のできないデータを捕らえることがどんなに難しいことか。だいいち、あれだけの規模の東日本震災だって全く予知できなかったんだし。震度5ぐらいの地震でも前兆を捕らえていれば多少は信用するけどね。

それに、絶対確実とは言いがたい微妙な前兆現象を何とかとらえたとしても、それを発表したときの社会的な影響を考えると予知が外れた時に責任を取れとかいう馬鹿な人たちが沢山出現するから、発表しても「直ちに東海地震につながるとは考えにくい」みたいなコメントになるよ、どうせこの国は。放射能のコメントしかり。

以上のように予知できる条件は非常に限られているのだから、それならば突発的に地震が発生する確率の方がずっと大きいとみるべきだ。
でも、ここの地元の人たちは、政府発表があってから大地震が来るみたいに思い込んでいる節があるのだよな。そりゃ子供の頃からそう教え込まれていればそうなるか。

それよりは突発的に地震が起こったときはどうするのか、インフラずたずたで、街は津波に洗われて道も通れず、子供を迎えにも行けないような状況になったときに、子供たちは安全に避難させることができるのか、その後、情報が入らない極限状態のなかでどこで子供たちと合流できるのか、まず何を優先に救助活動を地域で行うのか、そういう緊急事態対応をもっと練習するべきではないのかなぁ。

先日の夜間の地震発生の際、工場の現場の人たちは自分が駆けつけるまで、停電になって暗闇の中で30分近く待機していた。工場の対策本部に合流すればよかったのに、指示がまわってこなかったから、そしてそういう風に訓練されていなかったから、訓練された避難場所までは移動して、あとはただひたすら待っていたようだ。ほとんどの人は訓練されたことしかできないのだと実感した。
せめて伝令か斥候を出して、命令系統を探して指示を仰ぐ、ぐらいの自立的行動はとって欲しかった。というか、そういう自立行動をとるように訓練しなくてはならないのだろうと思った。

そんななかで、みんなでいまから発生する地震に備えてだらだらと避難所に集まって、炊き出しを始めるなんてナンセンスだよ。食料の場所さえ知らしめておけば、教えなくても腹へれば自然に炊き出し部隊なんて生まれるよ。

ま、いまいち納得は行かないけれど仕方が無い。防災訓練中に台風の被害で怪我人とかいった本末転倒だけは起きないことを祈ってます。