響鬼考

ようやく,三十之巻,三十一之巻を見る。

ぎりぎり三十之巻は許容範囲かな。それにしても人物の描写が薄っぺらいというか,特に主人公のキャラがかわっちゃって人間的魅力を感じられない。
変な敵キャラデザインはともかく,やりたいことはアクションてんこ盛りの見せ場で子供を引きつけて玩具売ろうというとこいら辺は感じる。しかし滑っている。せっかく殺陣はある意味世界最高級のレベルなのに,ほんともったいないね。
あと,デシケータでぐつぐつ物を煮るのは何とかして欲しい。あれは乾燥剤とかを入れて保存するための容器だ,おい。

三十一之巻は,題材としてはもっと書き込めて,感動の話,成長を感じさせる話に仕上げられるはずなのにほんとに上っ面の人物描写で台無し。
だいたいおまえら説明口調多すぎ。こんなもの口でしゃべらんでも十分演技だけで説明できるだろうに。脚本も異様に不自然というか都合良過ぎ。見せたいシーンを無理やり繋げているだけ。手をあげてもそんなにタクシーは簡単に来ません。

あとは,えーと,えーと,ヒビキが桐谷の言葉に同調する心理がまったく不明。少年の「これまで逃げていた」のは,そういう描写をずっと積み重ねてこそのセリフだろが。どうせなら「これまで考えたこともなかったけど」のほうが自然なのとちゃうか?
なによりも主役がガラ悪すぎ。
前のプロデューサが金使いすぎて赤字だったという話もあるが,特撮CGもヘタレ。金を使わないようにというのが見え見え。これじゃかえって子供は離れるぞ。

あああ,見るのが辛い。実質の最終回はやっぱり二十九之巻だったかも。(前のプロデューサが意図的にメッセージを込めているのは感じたが)
米国では,売り込み脚本システムによりシーズンが更新されるたびにクオリティが上がっていくものなんだがな。あとになって下がるのはどうか。

最近の監督,脚本家にいいたい。おまえら大人になってから素で昭和ライダー全編見てみろ。そりゃ話は無茶苦茶だし,超ご都合主義だし,完全に子供だましだが,そのかわり完全に子供は騙されていたぞ。それにちゃんと理屈フィルター通して見れば某マガジンZの連載になるんだからそれでいいじゃないか。
あれを大人の視点でもちゃんと楽しめなければ平成ライダーなんか作る資格ないわい。子供視点でのフィルターをかけたままで作品を作るから却ってつまらなくなるんだ。

だいたい,ほとんど全話が敵味方みんなで仲良くどつきあっているスカイライダーのフォーマットで剣とか作れば良かったのに。

根本的に誰のための作品なのかということ。小難しい「シャシン」作家のものやマニア層のものではなくあくまで子供のためのもの。だから現実にはいないような好人物が主人公となって,あくまで子供のお手本になるような振る舞いをしてくれてこその「ヒーロー」なのに。最近の特撮作品のほとんどは,リアル指向はいいけれどそこの点が抜け落ちているように感じる。
だからこそ,多少の浮き沈みこそあれど完全に玩具を売るためにシステム化された荒唐無稽な戦隊シリーズこそ,逆に安定した人気を保っているのだと思うぞ。

・・・またクウガでも見ようかな。アギトは途中で見るのがつまらなくなってやめたし。