ドラえもん

 映画ドラえもんのび太の恐竜2006」を見る。いわゆる,文化センターでの巡業公演,子供が少々暴れても騒いでも,気楽に見れるのはいいね。

 内容感想。原作のテイストを尊重しつつも,スラップスティックなギャグを目指した出来というべきか。ただアクション性を重視した結果,やや演出過多な感じも受ける。

 また,流れを重視したためか,原作の説明的な箇所をすべてはしょっていた。これはこれで評価できるのだが,ドラえもんの楽しさの一つに,秘密道具を使ったワクワク感というのがあると思っている自分としては,そこまでスルーするのはどうかな,と。

 また,あからさまな子供受けを狙っているシーンが散見され,たしかに子供の反応は良かったのだが・・・うちの娘,そういうシーンの合間はだれてしまい,おとなしく観ていられなかった。
 つまりは全体を通して緩急の差がはっきりしていなく,いい感じで観客をクールダウンするタイミングがないので,小さな幼児はついていけないのだな。

 また,ピー助のキャラを立てたいあまりか,ドラえもんのび太のキャラが微妙に薄い,かつ,静ちゃん,スネオ,ジャイアンのキャラはさらに薄い。きちんと助演していないのだ。あくまで原作は主役はのび太,そしてドラえもん。ピー助はどんなにかわいくてもペットキャラ扱い,あまり擬人化しすぎるのもどうかな。

 そして最後のシーン。観客をクールダウンさせるべきところが尺が足りない。エンディングで原作のコマを出していたが,それをするくらいならば何故タイムマシンの演出を過剰にせずに,その分をあと5秒とって「夕焼けが・・・」のセリフを入れなかったのか。あの一コマは一気に日常レベルに引き戻しつつ,余韻とのび太の成長を感じさせる大事なシーンなのに。

 まとめ。原作への愛にあふれていつつも,新しい映画に仕上げようとした意気込みは感じる。映画としての出来は十分に満足レベル。しかし原作のもつ醒めた雰囲気というか,クールな部分が割愛されてしまい,バランスが悪い感じを受けた。
 アクションはともかく,昔の映画の方が全体のバランスがいいのは,あくまで子供漫画映画と割り切って作っているからか? 

 しかし,4歳の娘,ドラえもんが好きなはずなのに,途中でぐだぐだ。2歳の頃の方がよっぽど集中力があったような。やれやれ。