人の振り見て・・・

中国の洗濯用洗剤のCM、汚れた服を着た黒人を洗うと綺麗な服を着た綺麗な中国人になって出てくる。欧米で人種差別と問題になっているようだが、たしかに酷い。とはいえ自分の実感として(地方によって差は大きいだろうが)中国人に黒人差別意識を感じたことは無く、もっと無邪気に悪意無く作っただけではないか。もちろん悪意がなければ許されるという物では無い、が、これは中国人の多くがまだ国際的な共通コードとでもいうものを認識していないために作られたと思う。

元記事:
http://www.nytimes.com/2016/05/28/world/asia/chinese-detergent-ad-race-qiaobi.html?smid=fb-nytimes&smtyp=cur

経済的にも政治的にも情報的にも中国民の多くはまだ半鎖国状態であるからこそ、これが人種差別的表現だと知らないし思わないし、思ってもそれを放映することが悪いという認識がない。認識あればそもそもこんなCMは作成しないだろう。

そして、だから中国は遅れている、などと下に見た時点で我々も同じ穴のムジナと化す。このCMが作成された原因が他者の情報と認識の不足にあるのならば、日本が他国より優れていると考え他国の状況が目に入りにくくなった日本もまた同じ道を辿ることになるのだから。

なお、中国人に差別意識が無いというつもりはない。中華思想は周りの国を蛮族と見なし異民族を下に見る思想とも言える。とはいえ街を飾る広告には日本と同じかそれ以上にきらびやかな白人モデルが闊歩しているので、中国人が一番と思っているわけでもなさそうだ。だから今回のCMで最後に中国人が出てくるのは、せいぜい綺麗なジャイアンぐらいの、大した意味はないと思う。日本と同様に中国もある意味分かりやすい人種差別ではなく、むしろ民族・文化的な差別が複雑に入り乱れているのだろう。

なお、このCMには元ネタがあるらしいのだが、

・・・元ネタも大概だよなぁ。貧相な白人が筋骨隆々な黒人になれば差別じゃないのに逆は差別になるというこの状況が、逆に欧米における黒人差別の奥深さと難しさを示しているのだろう。そして、元ネタがあることも中国人の多くが知っていると思えないにも関わらず洗濯機への乗り方の再現性の高さとか、これはパロディというよりも完パク・・・いやいや、オマージュとかそういうもんですかね。