ネズミーランド考察

略してネズミ考・・・。

というわけで,年末にTDLに行ってきたのだけれども,周知のようにディズニーパークといえば世界中で最も楽しいと言われる施設であり,TDLはその中でもトップクラスのサービスを誇っており世界中のディズニーパークスタッフが研修に訪れるという,まさにワンダーオブワンダーズな空間なわけですね。

そのワンダーランドを演出しているテクニカルな部分については知識としては多少は知っていたのですが,今回子供を連れて行くことで本当に実感できたのが適度な敷地面積。
広すぎず狭すぎず子供をつれて歩いて回ってもあまり疲れない。某遊戯施設で移動だけでへとへとになった経験も思い出すと、この一点だけでもよく考えられているなと思う。だからこそ,これ以上拡張するのではなくディズニーシーという別施設を隣接して建設したのでしょうね。
そしてその意外と狭い敷地を感じさせない遠近感のある施設。そもそもあらゆる建物が実物の9割程度のスケールで作られているのですが,2階部分,3階部分はさらに縮尺が小さくなって高さを演出しています。シンデレラ城の塔のてっぺんの方の窓なんて数十cmくらいしか高さが無いんじゃないかな,あれ。
このシンデレラ城は夜になると幻想的にライトアップされます。今回は夜まで残っていたので気がついたのですが,これブラックライトで照らし出しているんですね。
周り中を高い設備で取り囲み園外が見えないような配慮。ゴミ箱ひとつのデザインを見ても景色に溶け込んで目立たないように、でもゴミ箱としての主張はしているという絶妙なもの。ビッグサンダーマウンテンの小屋の中の通風配管のさびの浮き出た後の埃をかぶったウェザリングなんて、毎日工場の中で本物を見慣れている自分が見間違うぐらいの出来栄え、吊り下げているランプの電線も巧妙に隠されています。
無粋なのは消火設備くらいなものですが、まあこれは日本の建築基準に従うとどうしようもないか。

でまあ,そのほかにもいろいろな部分に関心させられたのですが,このDLっていうところはそういう緻密な計算のもとに練り上げられた映画のセットのような演出によってなりたっている独特の空間であり,各種のアトラクションは実はおまけにすぎないんですよね。子供はそりゃ乗り物に乗った方が楽しいでしょうけど,単にここの敷地内をうろうろとしているだけでも幸せな気分に浸ることができるというもの。

これ,何か似たようなものを体験したことがある気がしていたのですが,思い当たったのは「神社の境内の祭り」です。
鳥居(ゲート)をくぐって中に入ると,まず参道沿いに屋台がずらっと並び,似たような格好をして皆が集まって,お面をかぶっていたり,屋台ではちょっと珍しく値段高めのその割りにはあまり美味しくないけどそれでも許せる食べ物が売っていて,御輿や山車が練り歩き,所々ではちょっとした乗り物とか射的とかあって,お化け屋敷があって,真ん中には御社があって,夜には花火が上がって・・・。そういう人込みの中を練り歩くだけで,みなが嬉しそうで,幸せな気分を共有できる。各種パレードなんてねぶたそのものです。

神社の祭りはテーマが五穀豊穣だったり神様だったりするのですが,それがディズニーというキャラクターに置き換わっているだけであり,私たちは入場ゲートをくぐりワールドバザールを抜ける間に,そういう年がら年中祭りが催されている異世界に旅立って行くことができるわけですね。

そして、実際の祭りはごく短く儚いものですが、ここはずっといつでも祭りが待っている世界。徹底的に「ケ」が排除され「ハレ」のみの場が広がる世界。年に1度のカーニバルのためだけに残りの日数を生きている人々がいるように、DLに戻る事を生きがいとしている人もきっと多いことでしょうね。そんなにキャラ好きでない自分ですら影響受けそうなくらい中毒性が強い世界です。そしてそれを生み出したウォルト・ディズニーという人はいったいどういう人物だったのか。もっと調べてみようかな。